AIで口コミを可視化する。
キーワードを抽出する。
ポジティブ・ネガティブを分類する。
とても便利です。
でも、ひとつ大事な前提があります。
そのデータ、本当に全体を代表していますか?

口コミは「偏りのあるデータ」である

評価や口コミは、そもそも

  • 強い感情を持った人ほど書く
  • 満足か不満か、極端な層が書きやすい
  • 静かな多数派は書かない

つまり、口コミは「母集団全体の声」ではなく「発言者の声の集合」です。
この時点で、すでにバイアスを含んでいます。

可視化しても、見えるのは“その断面”

AIで見える化すると、

  • 「清潔さ」が多い
  • 「接客」がネガティブに多い
  • 「朝食」がポジティブに多い

といった傾向は出ます。
しかし、それは「たまたま、その期間に、発言した人の声」に過ぎません。
その断面だけを見て改善すると、

  • ネガティブに反応する
  • 次のネガティブにまた反応する
  • 施策が場当たり的になる

いわば、モグラ叩きです。

平均値や有意差は、さらに危うい

例えば、

  • 総合評価 4.1 → 4.2 に上昇
  • 有意差あり

これで安心できるでしょうか?

平均値は、

  • 評価が割れているのか
  • 特定層だけが上げているのか
  • 満足の理由が変わったのか

を教えてくれません。
有意差は、「統計的に違いがある」とは言えても、
「なぜ違うのか」「何をすべきか」までは教えてくれません。

本当に見るべきは「構造」

大事なのは、

  • 誰が評価しているのか
  • どんな期待を持っていたのか
  • どの体験が分岐点になっているのか
  • なぜ評価が割れるのか

という、体験の構造です。
数字は材料です。キーワードはヒントです。
でも、判断は、構造理解の上にしか成り立ちません。

まとめ

AIによる見える化は、入り口として有効です。
しかし、

  • 偏りを理解せず
  • 構造を見ず
  • 断面だけで判断する

ならば、それは分析ではなく反応です。
評価や口コミは、「正解を出すためのデータ」ではなく、
「問いを立てるための材料」として扱うべきです。