相関係数が高くても、非対称な購買行動ではセット販売が逆効果になることがあります。
クロスセル設計では「関係の強さ」だけでなく、「関係の方向性」を見ることが重要です。
対称な関係とは?
例えば、「うどん」と「天ぷら」。
うどんを買う人の多くが天ぷらも買い、天ぷらを買う人の多くがうどんも買う、お互いが似た確率で起こる状態。
このように、双方向に強い関係がある場合は、相関係数が高く、対称性も強いのでセット販売に適しています。
非対称な関係とは?
例えば、「うどん」と「おにぎり」。
うどんを買う人の多くはおにぎりも買うが、おにぎりを買う人の多くは単品で済ませて、うどんを買わない。
このように、一方の購買はもう一方を強く伴うが、逆はそうでもない関係。
なぜ非対称性が問題になるのか?
セット販売の狙いは、「一方を買った人にもう一方を提案して買ってもらう」ことにあります。
したがって、
「Aを買う人にBをすすめると売れるのか?」と
「Bを買う人にAをすすめると売れるのか?」は、実は、別問題なのです。
相関係数は「全体的な線形関係」を測る指標なので、方向性を考慮しません。
そのため、非対称な関係においては、
● 一方の購買を起点にしたクロスセルは効くが、逆方向では無意味または逆効果になる
● 陳列棚や提案順を誤ると、購買体験がノイズになる
● 効率的な販促チャネル設計を誤る
といったことに陥ってしまいます。
相関係数は「関係の強さ」までは教えてくれるが、「方向性」や「購買行動の起点」は教えてくれない、
これが相関係数の落とし穴です。